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そこは森の中 -白石陽一さんの工房訪問-

2018年5月25日 夕方

16時前、岐阜多治見のサードセラミックスさんで話をしていたが、白石陽一さんの工房を訪ねる時間が迫ってきたため山方面へと車を走らせた。
まだ空は青く、山中に入ると新緑が生い茂る道は気持ちがよいのだが、道は細り、崖のような箇所を通り過ぎると不安になってくる経路。再度カーナビで合っていることを確認し、また車を走らせる。結局、白石さんに工房近くの目印になる建物まで来ていただき、後についてさらに細い道を進んで到着した。ここもまた初めて訪れるには一人でたどり着けない工房・・・

山中にある小さな元工場が白石さんの工房(工房としてはかなり大きい)になっていて、工房内は、展示風スペース、大きな棚、作業スペース、そしてプラスチックボードで囲まれた4畳分ほどの白く大きな箱のような鋳込み場があり、ゆったりと各スペースが設けてある。

手元を離れた作品が自分の意図や思いでコントロールできないならば
最初からコントロールしない作品をと、
制作過程から意図的な偶然を作り、自然経過を残した作品制作をしている。


色々とお話を聞かせていただきながら、鋳込み場での作業手順を見せていただいた。
鋳込み場室内入って左側には鋳型が並び、右には作業場。(鋳込み場の写真は撮り忘れ…)
上画像の「変形皿」を作る際は、石膏ブロック(これを白石さんは鋳型と呼ぶ)を多角形に組み合わせ、その中に液状の磁土を流し込み、鋳込みの経過で現れる土の流れと細かなシワの表情をそのままに作品制作をしています。そのため同じ形、同じ表情はありません。
丸皿など、全体の形のある鋳型もありますが制作過程は一緒ですので、表情やエッジの付き方に変化がつきます。

泥漿鋳込み:
泥漿(でいしょう/加水して流動性を増した磁土)内の水分が石膏型に吸われてゆき、時間を置くことで内側に皮膜を形成していきます。
気温、湿度、型の乾燥具合、泥漿の状態などを敏感に影響を受けるため、データだけでなく直感にも頼らざるを得ない工程です。

話を伺っているとかなり遅い時間となってしまい、後ろ髪を引かれる思いでしたが白石さんの工房を後にした。
帰りの山道がちょっと不安。いただいたお茶と台湾菓子が美味しかった。ごちそうさまです。