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鉄のススメ

職人の手によって丁寧に造られる鉄鋳物

一つ一つ微妙に異なるその表情には、素朴で手作りならではのあたたかさがあります。使う程に鉄独特の深い光沢とぬくもりが感じられる味わい深い素材を活かし、鍋や鉄瓶などの生活用品から、インテリア小物・オブジェまで幅広く使用されています。そのデザインも伝統的なモノ・シンプルで飽きのこないモノ・遊び心あふれる個性的なモノなど実に様々。好みや用途に合わせて選択できる楽しみも魅力的です。

取扱い方は?

鉄器、特に鉄の鍋やフライパンは何となく扱いにくそうな印象がありませんか。鉄鋳物は、ホーローや樹脂加工品と違って表面にコーティングをしていません。確かに、樹脂(テフロン)加工の手軽なフライパンに慣れてしまうと、重い鉄のフライパンは敬遠してしまいがちです。でも、ほんのちょっとしたコツさえつかめば末永く愛用できる魅力的な製品。自然な形で鉄分摂取できる点も見逃せません。
素材自体に流行に流されない普遍的な魅力があり、少々サビ付いてしまっても自分で修復できるので、お手入れ次第で半永久に使う事が可能。長い時間をかけて土に帰っていく、身体にも環境にもやさしい鉄器を日々の暮らしの中に取り入れてみませんか。

熱源を選ばない

直火(ガス)・IHクッキングヒーター・ハロゲンヒーター・オーブンで使用可能です。
直火で使えるので、アウトドアでも大活躍。
(※)IHクッキングヒーターの場合:底面直径が小さいものは使用できない場合があります。対応サイズは機種によって異なりますので詳細はご使用商品のメーカーや説明書でお確かめ下さい。
※電子レンジでは使用できません。

鉄分補給できる

現代人の20%が貧血症または準貧血症と言われ、その内の約70%が鉄欠乏性貧血です。
妊娠・授乳中の女性や成長期の子供は特に積極的な鉄分摂取が必要。鉄の調理器具で作る料理や鉄瓶で沸かしたお湯には、イオン化された身体に吸収されやすい鉄分が豊富に含まれます。その量はステンレスやアルミと比べて約15~30倍とも言われます。

焦げ付きにくい

表面は細かい凹凸になっていて、そこに加熱された空気が入り込み、油が染み込むことによって焦げ付きを防ぎます。ムラなく全体に温度が上がるので、全体をふわっと焼き上げ、部分的に食材が焦げ付くこともありません。
鉄器は長く頻繁に使うことで表面に酸化膜ができ錆びにくくなります。また、使い込むほどに表面がこなれて、丈夫になっていくのです。

冷めにくい

保温性に優れ、アルミの鍋に比べて約1.5倍冷めにくい特性があります。
一度熱すると冷めにくいので、中までじっくり火を通したい料理にピッタリ。
シチューやおでんなどの煮込み料理や、熱々をいただきたい餃子やステーキなどには、食卓にそのまま出せるデザイン性の高いのものを選ぶのも楽しみの一つ。

鉄器のお手入れ方法

鉄鋳物は、ホーローや樹脂加工品と違って表面にコーティングをしていません。当然サビたり調子の悪い時もある。でも、お手入れのコツさえつかめば末永く愛用できる魅力的な製品。コツといっても難しい事はありません。気長に気楽に鉄器と付き合っていきましょう。

使用前に

軽く水洗いし水気をふき取ります。その後、熱源にかけ、多めのサラダ油等をこまめに塗りながら、煙が出る程度加熱します。(中火で10分程度が目安)こうする事で表面に油の膜を作り焦げ付きやサビを防ぎます。
この時ネギや生姜など香りの強い野菜くずを一緒に炒めると鉄特有の匂いを抑える働きがあります。煮物料理に使う場合も、同様の野菜くずを水から煮込み取り出してからお使い下さい。
野菜くずを出し、粗熱が取れたら洗剤はできるだけ使用せず洗って下さい。これで使う前の工程完了です。

鍋/フライパンを使う

調理時は鉄器が十分に熱くなってから食材を入れて下さい。鉄器に焦げ付き難くなります。また、食材の加熱が早くなり、うまみが引き立ちます。
食材に含まれるタンニン(お茶が有名ですが、野菜などにも含まれています)と鉄分が反応して料理の色が悪くなる事がありますが、食しても体に害はありません。

使い終わったら

サビの原因になるので長時間料理を入れたままにしないで下さい。特に水分や酸味のある料理は注意が必要です。粗熱が取れたら洗剤はできるだけ使用せずタワシやスポンジを使って汚れを落とします。布巾等で水分を拭き取り、その後、軽く熱し水気を完全に飛ばします。(長時間の空炊きはしないで下さい)
使い始めのは薄く油を塗って保管すると良いですが、徐々に油がなじんでいきますので、必ずしも毎回油を塗る必要はありません。長期間使用しない時は水気を完全に取り、紙に包んで乾燥した場所に保管します。

サビが出てしまったら

まず、クレンザーやタワシなどでサビを落とします。
油料理に使いたい場合は「鍋/フライパンの使用前に」と同じ手順を行って下さい。
煮物料理に使いたい場合はお茶を15分位煮立てます。その後、湯を何度か沸かしては捨て、湯がきれいになるまで繰り返します。